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「第9回河上鈴子スペイン舞踊賞を受賞して」2002年2月10日小林伴子インタビュー
Vol.07(2000年3月5日発行より)
河上鈴子スペイン舞踊賞(現代舞踊教会)
   
菜畑

第9回河上鈴子スペイン舞踊賞受賞おめでとうございます。

     
小林

ありがとうございます。

     
菜畑

昨年、一昨年の「カスタニュエラ・カスタニュエラ」、「カスタニュエラ・カスタニュエラU」の公演を終えての感想をうかがいます。

     
小林
今までは外国の踊り手さんを呼んで公演していましたが、いつかは自分ひとりでひと舞台を踊りきる事をやってみなければいけないと思っていました。年齢的にそろそろリミットなので、大好きなカスタネットを中心に、冒険をしてみようと「カスタニュエラ」を企画しました。
一昨年は北海道でも「カスタニュエラ」の公演を行なったのですが、そこで「カーニャ」を黒い衣装を着て踊りました。あとでビデオの画面を見るとまったく違う踊りに見える。その印象から「カスタニュエラU」の構想が浮かびました。「白」で叙情的な踊りを踊ったので、今度は「黒」で黒鳥のようなイメージで表現し、おなじナンバーを使いながら前回と「対」になる事をテーマに企画していきました。
気づいてくれる人もそうでない人もいる、ということだと思いますが、パートUだけみても普通に楽しんでいただけないといけませんし。

 

     
菜畑

前回は馬頭琴と、今回はタブラとのセッションでした。

     
小林

馬頭琴とは踊りのなかでかけ合いがあり、タブラとも最初は踊りのなかだけのつもりでしたが、やっていくうちにだんだんこういうこともしてみたい、ということが膨らんできて、プロローグのセッションになりました。

     
菜畑 即興的で見ている方は楽しかったのですが、やっている方はどうですか。
     
小林 もちろん私も楽しかったですよ。座って足で基本的なリズムをとりながら、カスタネットを弾くことは、そんなにめずらしいことではないし、座ってサパテアードを打つ事も既存の技術です。
しかし、細かいサパテアードを足で打ちながら、カスタネットを弾くということは、座っていても立っていても、あまりやりません。あたりまえのことを組み合わせる事で、新しい表現の可能性が出てきて、興味深かったです。こんな事もできるあんな事もできるとやっているうちに、どんどん自分のなかで膨らんで自然に出てきたことなんです。
     
菜畑 そのへんは今回受賞するにあたって、評価されたのですか。
     
小林 「カスタネットを使って」という私のこだわりを評価し、認めてくださったのだと思っています。カスタネットを打楽器として、サパテアードとおなじような使い方をして、可能性を広げてみようとしたのですが、自分が楽しいこと興味あることを発展させて、それがクリエイティブなことにつながるのは幸運です。
     
菜畑 見ている方も、今回打楽器として見方が広がり、カスタネットの素晴らしさが伝わったのではないでしょうか。
前回馬頭琴、今回タブラときて、今後いろんなパーカッションなどとのセッションは、あるのですか。
     
小林 やはり自分の会のなかでは、あまりたくさん打楽器が重なるということは、効果的ではないかなという気もします。
たまたまパーカッショニスタの方が、MXテレビで放映された私の「カスタニュエラ」(1995.12.26放映)を見て、自分の会にゲストとしてお誘いがあり、共演の機会を得たのですが、新しい発見があるかもしれません。タブラの音は、民族的な響きを持っていて、人間の肉声にも似たような有機的なものを感じます。馬頭琴やタブラのように、民族楽器が好きなので、そういう楽器との出会いがあれば、また共演してみたいと思います。
     
菜畑 河上鈴子さんは、ずいぶん長くスペイン舞踊を踊っていらしたそうですが、伴子さんは河上先生をご存知ですか。
     
小林 私は残念ながら、河上先生の舞台を見たことがなく、噂で聞くばかりです。いつも思うことですが「歳を経てしか証明されないもの」があると思っています。舞台を続けるというのは、とてもエネルギーのいることです。先輩たちが、毎年毎年、大きな舞台をされているというのは、凄いことだと改めて思います。
賞をいただいたことは、これからも頑張りなさいと、励ましをいただいた事と受け止めています。河上鈴子賞は、若い方ではなくて、スペイン舞踊の世界でベテランに与えられる賞です。私もベテランの方に入ってしまったのかしらと、あたりまえのことに改めて気づかされました。自分はまだ若手の方だと思っていたのですが。(笑い)
     
菜畑 小島章司先生がパンフレットの序文に、ご自身のことを「肉体は下り坂にさしかかっている。が、そのぶん思考は成熟して肉体の衰えを支える。」と書かれていましたが。
     
小林
20歳代には1日に8時間稽古しても平気でも、いま同じやり方で8時間稽古をしたら翌日は、起きられなくなりますから、稽古の質も必然的に変わってきます。
河上先生が80歳すぎまで、現役で踊っていらしたのは凄いことだと思います。自然体でハードな稽古もこなしていく事ができた年齢から「何か義務を果し精神の力で自己の肉体をささえる」という年代にさしかかっていると思います。
今私が本当の意味で踊るには、モティーボ(原因、動機づけ)が必要です。
いい音が聞こえてきて感動したとか、嬉しいとかが表現につながって踊りたくなるのですが、肉体の状況も変わり、感性も気むずかしくぜいたくになっていく。現実には感動する機会は少なくなっていきます。ですがモティーボがないところでも、体を動かしトレーニングしておかないと、いい音が聞こえてきたときに、体が錆び付いて踊れなくなってしまいます。ただギターとお稽古が出来たり、サパテアードが踏める事を、ひたすら楽しいと感じていた時代が過ぎ、皮肉な事だけれど感動を待つために、退屈ではないけれど感動とは無関係の、いく時間を過ごさなければならなくなる。ですから、会を企画して作り上げていく事や、素晴らしいアーティストたちに囲まれて、舞台に上がれる事は、私にとっての大きな喜びであり感動です。
   
菜畑 今後のご活躍に期待します。ありがとうございました。
 
 
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