小林伴子 フラメンコ・スペイン舞踊教室・高田馬場駅から徒歩1分
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  会報「AMIGO」
     
「セビジャーナスの一歩」 スタジオ開設10年を振り返って
Vol.04(1996年11月18日発行より)
 
   
菜畑

ちょうど今年はスタジオ開設10周年だそうですが。

     
小林

本当にあっと言う間の10年でした。スペインから戻ったのが1985年の12月25日。翌年の5月に今の第1スタジオを開設しました。


主な稽古場になっている第2スタジオ事務所にて
     
菜畑

オープンのあとに伺いましたが、白と黒に統一され天井もパイプとかそのまま見えていたのが印象深かったですね。高田馬場にスタジオ開設した、いきさつを聞かせてください。

     
小林

私は計画を緻密に立てるより直感型です。当時住んでいた東村山から通うのに都合良く、稽古に通う皆さんも便利なところということで、とりあえず高田馬場の駅に降り立ちました。早稲田口を左に行ったのが運命の分かれ道で、通りかかった新聞配達のお兄さんに「長くやっている不動産屋さん」を教えてもらい、その不動産屋さんが最初に見せてくれたのがお米屋さんの地下の今の第1スタジオの場所でした。

     
菜畑

ほかにはどこか探したのですか。

     
小林

知人には「なんと無謀な」と言われたのですが、たった一カ所そこだけ見て決めてしまいました。私は不動産のことは何もわかりませんが、稽古場はあちこに見ていますので、天井も高くピンとくるものがありました。

     
菜畑 お米屋さんはフラメンコの教室にするということでビックリなさったんじゃないですか。
     
小林 70歳をすぎてもカクシャクとしたおばあちゃんのオーナーはビックリするどころか、そういう教育的なお仕事だったらよろこんで、と内装資金がないと迷っていた私にポンと保証金を150万円もまけてくださったんです。資金はすべて母からの借金でしたので、この150万円の値引きは私にとってとても重要なイミを持っていました。結局思い切ってしまいました。

5月にスタートした時に生徒はたった3名でした。かなり経済的に不安でしたが、とにかく自分の稽古が出来る場所と仕事場を確保しなければという一心でした。お陰様でその年の暮れには20〜30名の生徒が集まって、なんとかスタジオとしての形も見えてきました。今スタジオのスタッフとして活動してくれている小倉、新海、白井の3名はその年に入会した古いメンバーです。

第2スタジオは1993年の4月に出来たのですが、これも偶然でした。第1スタジオが手狭になってきていたのでこんな広いスタジオだったら良いなあと、通りに面した新築ビルの物件をのぞいていたところへ後ろから声がかかりました。以前、印刷物をお願いした豊栄堂のおじさんで、「今度ビルにするので、うちを借りない?」と。資金的にとても無理だなあと思いながら、これもその偶然がきっかけで思い切ってしまいました。
     
菜畑 スタジオを開いて、習う立場から教える立場になり、とまどうことも多かったのではないですか。
     
小林 「教える事」は私に合っているようですし、教えていくうちに色々と発見があって私自身もとても勉強になります。自分が習っていた時にはごく普通の伝統的な習い方「ものまね」や「感性」で稽古をして、理論的な事などあまり考えていませんでした。
人に教え始めて「どうして出来ないんだろう」とか、「どうしたら出来るようになるんだろう」とか自然に考えさせられることになり、今まで何気なくやっていた事もすごくはっきりと「ワケ」(理由)が分かってきました。
例えばセビジャーナスというセビリヤの町のお祭りのフォークダンスを初心者に教えるのに、私自身は「カン」で踊りの出をつかんでいますが、1週間に1,2度のお稽古でその「カン」を身につけるのはとても不可能です。それでどう説明しようかと観察したら、歌が始まってから3拍子3回聞いて4つ目が第1歩だ、という事が私自身確認できました。
フラメンコはどの曲でもそうなのでが、形式がきまっていても歌詞やメロディーは様々なので規則性をつかまないと、いつまでたっても不確実な不安な状態のままです。「カン」でそれを乗り越えるためには、大変な練習量と時間が必要です。規則性や「ワケ」を知り、正しく反復練習する方が早く「カン」も身につくと思います。 ただ「頭で理解したことが踊れるという事では無い」と、生徒にはくれぐれも言っています。
 
レッスンをする生徒さん(第1スタジオにて)
     
菜畑 10年の間に生徒さんを大勢育て、すでに2人のお弟子さんが日本フラメンコ協会の新人公演で、奨励賞を受賞されていますね。おめでとうございます。
     
小林 第4回公演では片桐美恵がソロ部門で奨励賞、舞踊団が群舞で準奨励賞を受賞する事が出来ました。新人公演は若い踊り手の切磋琢磨の場としてたいへん刺激になっているようです。日本中から様々な環境でフラメンコに取り組んでいる人が集まってくるので、発表会とは違った、他流仕合のおもむきがあります。また「賞」があることによって加わるプレッシャーはとても大きな物で、出演者の皆さんすごく稽古をして公演を目指すようです。その結果ほんとうに目に見えて上達して行きます。

片桐美恵は3カ月スペイン留学をして、万を持しての出場での受賞でしたし、植田玲子はギタリストの染谷ひろし氏のもとでリズムトレーニングした努力が実っての受賞でした。先輩達が認められることは後に続く仲間にとってたいへん励みになりますし、指導している私にもとても嬉しいことです。(1996年10月2日 第2スタジオにて)
 
 
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