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「スペインのサン・フェルミン祭り」 橋本 進
Vol.01創刊号(1993年10月20日発行より)
 
◆◆ラテンと日本人◆◆
いま、ラテンが熱い。ヤングにブームのF1やサッカーの本場は、イタリア、ブラジル、スペイン、フランスなどラテン諸国。一瞬の間隙を突いて、マシンを抜き去るセナやプロストのハンドルさばき、ハリの穴を通すようなマラドーナやジーコこそラテンならではの迫力だ。

時間にルーズ、怠け者、女たらし・・・何かに付けだらしがなく、それに比べて日本人は−と好対象で引き合いに出されるラテンだが、この天性ともいえる瞬発力には、すばらしいものを持っている。彼らのパワーの秘密は、どこにあるのか。そのキーワードは、ラテン民族に欠かせないフェスタ(お祭り)にある。
 

パンプローナ市庁舎前広場で開会宣言
 観衆は真紅のハンカチをふって祝う
  (撮影 橋本 進)
3年前、スペインの三大祭りのひとつに数えられるパンプローナの「サン・フェルミン祭り」を取材した。

7月6日正午、市庁舎前広場で、まず開会宣言があり、それを合図に一週間、時間にして148時間、昼も夜もぶっ続けで、飲めや歌えのドンチャン騒ぎがエンドレスで続く。

スペインと闘牛をこよなく愛したヘミングウェイは、長編処女作「日はまた昇る」(1926年)の中で「日曜正午、お祭りは爆発した。と書くよりほかに手だてがない」と表現している。

作家としては、ずるい書き方だと思っていたが、現場に立つと確かに「爆発」としか、いいようがない。
   
広場を埋めつくした男女が、一挙に燃えあがる。ダンボール箱で次々に運び込まれるシャンパンは、ラッパ飲みするだけではなく、無差別に掛け合い、踊り狂い、奇声をあげ、まさに底なしのラテンのノリだ。これが瞬発力に通じるのではないか。

毎朝8時には、世界的に知られた牛追い(エンシエロ)が繰り返し行われるが、街中に放された暴れ牛の群れに追い散らされたスペイン人の逃げ足の速いこと。毎年でる死傷者は、決まって逃げ遅れた外国人。やっぱりカンがいいのか、それとも意外に臆病なのか。日本人も負けないくらいお祭り好きだが、ここまで徹底的に楽しめないだろう。

同時に敬虔なカソリックの国にふさわしい宗教行事も行われる。守護神のサン・フェルミン像を担ぎ出し、中世そのままの衣装で行列をするが、厳粛なムードに包まれ、バルコニーから賛美歌が流れ、感きわまって涙にむせぶ市民も。この両極端が、ラテン流バランス感覚かもしれない。

きょうの人生をめいっぱい楽しむすべを知っているラテンこそ人生の達人ではないだろうか。バブル経済がはじけ、精神的な面が見直されている現在、たとえGNPは低くてもパンとビノ(ワイン)で楽しく過ごすラテン人生に学ぼうじゃありませんか。
 
 
 
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